Jungla de Cemento 南米在住アーティストのブログ

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チリのデモ~地下鉄運賃値上げが何故こんなことに?!

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Hola!

Tomikoです。

パラグアイは静かです。

周辺国では今、市民が声を上げています。

今日はそんなお話。

チリのデモ、何故? 

目次

 

そもそもなぜデモに発展したのか。

切っ掛けは地下鉄料金の値上げ。

何故?そんなことで?

と日本にお住まいの方なら考えると思います。

これは、南米の歴史や生活事情を知る必要があります。

まず、チリは物価が超高い。

他の南米に比べて物凄く高い。

もちろん、貧富の差も生まれます。

南米各国でインフレで、現在私の住むパラグアイ

異常なほど物価上昇が起こってます。

アルゼンチンなんかはハイパーインフレの後の

通貨価値崩壊で今結構やばい状況です。

ブラジルは唯一米中貿易戦争を利用して

今年度「勝ち組」(嫌な言葉)となった国と言えるでしょう。

ウルグアイやチリは南米の中では

経済的にも安定していて、都市化も進み、

生活の質も上がっていると考えられていました。

パラグアイに暮らす私からすると憧れの国でした。

大好きなVictor Jaraの国。

それが最近になり、不穏な声が聞こえてきました。

民主主義の危機にある。

というものです。

 

話を戻します。

 

地下鉄運賃の値上げが決定したことから

学生らによるデモ勃発。

 

18日金曜日、デモは過激になり、バスや地下鉄に火が付く。

街のいたるところで暴動が起きる。

 

そして19日、土曜日に政府は非常事態宣言を発令。

夜間外出禁止となる。

(ちなみに独裁政権時代のパラグアイは毎日これだった)

軍隊は市内警備のため駆り出された。

 

その夜、大統領は値上げ撤回を発表。

市民の声に謙虚に耳を傾けたとした。

 

しかし、この発表は市民の怒りを抑えるに至らなかった。

 

国内の各都市に大勢の人が詰めかけ

都市機能は麻痺状態に。

 

追記

25日 デモは100万人を超える最大規模へ

26日 全官僚を辞任させる内閣改造を発表。(一年ちょっとの任期で二度目となる)

 

 

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じゃあ、なぜ?

地下鉄運賃値上げがこんなことに?

 

"Milagro Económico"(奇跡の経済)と呼ばれる

軍事政権時代の政治基盤は

長期に渡って市民に抑圧を与えていた=市民は虐げられていると感じていたと言われている。

 

原因1 超格差社会

地下鉄運賃値上げは問題の氷山の一角であると言われている。

近年、格差問題は大きく叫ばれ、何百もの抗議者が訴えてきたという。

 

ラテンアメリカおよびカリブ海経済委員会(ECLAC)が作成したラテンアメリカの社会パノラマ報告書の最新版では、2017年に富裕層である1%が国の財産の26.5%を握り、低所得世帯の50%は全体で僅か2.1%しか手にしていないということが明らかになっている。

チリの最低賃金は423ドル、半数の労働者が最低賃金相当額を受け取っているとのこと。今回の運賃上昇で支払いが困難になる。

 

チリの公共交通機関は、平均収入に対し高額である。ディエゴポータル大学による最近の調査では、世界56か国のうちチリは9番目に公共交通料金の高い国となった。

 

富裕層からすると2%程度が交通機関への出費となるが、低所得層ではが負担が収入の30%にも及ぶという。

 

何十年も続いている問題に対し政府が対応してこなかったことが原因となっている。

 

初めにも書いたように近代化が進み物価も上がり安定していると考えられているチリ。

以前に比べ貧困の度合いも随分と良くなってる。

しかしながら大きな不平等が未だにあることは不思議ではないという専門家もいる。

例え貧困層を脱しても、生活は困難であり、法外な手段でお金を稼ぐ富裕層が存在しているのも事実である。

 

地下鉄値上げ問題は、後の水道、電気、公共衛生の値上げと危機の可能性を示している上、年金制度にも関連するとも言われている。

長年にわたって年金制度については議論されてきたが、そこにも大きな欠点があるという。

未来に対する良いビジョンを抱けない、希望を与えないのが現大統領の政策であるという。人々は状況は悪化していると感じているだろうと述べる人もいる。

 

貧困層を抜け出し、中間所得層と分類されるようになった人々は、低年金、高いローン金利、健康保険などの問題を抱え、安月給で働いている。それが不確実性を生んでいるという。

 

原因2 ピニェラ政権の責任

デモに対する反応の遅れは、反対派および支持者からも指摘を受けている。

 

今回の運賃値上げについての説明はなく、国民の生きる現状について共感不足と言われている。(どこかのA総理大臣と同じ)

抗議が起こる前に値上げを行おうとした。

付け加え、抗議者の声を聞き入れるどころか、犯罪者とみなし、

安全保障法による権力をかざした。

 

緩やかな抗議から、徐々に激しさを増した。政府は支配と抑圧をもって対応した。

軍の特殊部隊(las Fuerzas Especiales)が出動した。

政府は盲目で、聴力も失っているとジャーナリストは語っている。

 

金曜日に、地下鉄の駅が炎上する中、

大統領は、孫の誕生日を祝い高級レストランで食事をしている姿が目撃されている。

野党は激しく追及した。

惰性(対応の遅れ)誤解(学生は抗議する意味がない)抑圧(路上への軍事配備)

大統領が糾弾されるのは、自業自得。

政府がもっと早く人々の意見を聞いていれば。

政府のスキルと能力不足を露呈した結果。

などの声が議員からも上がっている。

 

いずれにしろ、反対議員も批判の対象となっている。

対応の遅れ、暴力による抑圧、国民の生活向上への努力不足であるに違いはない。

野党議員ですら、軍隊による制圧を止めようとしなかったからである。

 

原因3 裏切られる公約への期待感

チリの政権は何年もの間、生活の質の改善を約束してきた。

教育、憲法、税、および保健における改革が発表されてきたものの、多くの場合期待外れに終わった。

 

結果、さまざまな都市の公共スペースが破壊される事態を招いた。

ミシェル・バチェレの2期政権(2006年から2010年、そして2014年から2018年)、そしてセバスチャン・ピニェラ2期政権(2010年から2014年および現在)が煽った期待感への裏切りが 国民の「怒り」を説明している。

 

両政権共に1期目は改革の象徴、強いて言うと男女平等、権力の後退であった。

しかしどちらも2期目において、その希望を塗りつぶす結果となった。

 

ピニェラ大統領の一期目においては特に雇用機会の増大による経済改善能力が評価されていた。しかし二回目の当選となる今回は期待を下回っている。

 

この政権の公約の鍵は経済改善と市民平和であったという。

 

しかしながら経済成長率は減少、費用は上昇。安全保障面にも不安があり、公約違反として認識されている。

 

原因4 学生の役割とは

抗議やデモは主に学生が主導している。

 

10月7日、初めに行われた地下鉄のゲート開放抗議では Instituto Nacional(公立校のひとつ)の生徒が主に指揮を執っている。

1813年に設立されたこの学校の生徒による抗議活動はここ最近激化している。

 

学生たちの不満は学校教育における欠陥に関連している。

「激化する新しい世代の出現」と分析されている。

この手の「暴力的」ともいえる抗議が若者によって行われるには理由がある。

 

チリが民主主義へ復帰して以来、最も重要といえる抗議行動も学生によって導かれている。「ペンギン革命」  2006年に、南米諸国の教育改善という社会的需要に応じた前例がある。

その後、2011年には、セバスチャンピニェラ第一期政権が学生による大規模なデモが行われ要求を通したことから今回のデモも火が付いたと言われている。

そして、現状はまだ明らかではないものの、民主政権となって以来最も激化した抗議活動であるのは確かだという。

 

ペルーとエクアドルの危機の後、チリは南米のオアシスと言われていた。

数週間前のことである。

それが現在では状況が激変、国民の怒りが収まるかもわからない。

 

 

これは大体の概要で、BBCニュースを翻訳したもの。

比較的客観的に書かれているし、分かりやすいと思う。

 

南米の歴史について

各国ともにだいたい共通する南米の苦しみついて

スペインからの入植者による支配の後、独立する。

その際はカウディージョと呼ばれる先住文化を尊重する独裁政権が続く。

南米で多くの戦争が起きる。

1900年代中期以降、再び各国が軍事独裁の時代に突入。

 

その当時の抑圧が色濃く残る。

政治腐敗、格差、思想の制限など

それに付け加え今年に入り

アルゼンチンが軍隊の国内出動

デモや武力勢力に対する警備を行える法案を承認。

チリは今回のデモ抑圧において

軍隊を出動させた。

パラグアイファシスト新政権も

同じく法案成立に向け議論を始めた。

 

今回一番のポイントは権力による

国民の声の抑制ととれる

政府側の対応、その背景にあるのはラテンアメリカで進む

軍隊による国内治安維持を認める法改正。

 

力でねじ伏せるということが

軍事独裁政権を彷彿とさせ

不安をあおっているという部分が強いと思う。

=民主主義の危機

 

実際にデモの鎮圧において死者も出ている。

 

 

最近は、ベネズエラ、チリ、キューバ、アルゼンチンなど

ラテンアメリカからの移民がパラグアイに押し寄せている。

経済情勢、政権への不満、理由は様々。

平和(抑圧され過ぎて国民は何も知らない、考えないので満足度が高い)

と言われるこの国、政治腐敗が凄まじいので

不法滞在でも問題ない。

 

しかしそのパラグアイを含む多くの国では

ヨーロッパに向けた移民大量排出国でもあり、

彼らはClandestinoと呼ばれる

不法滞在者として、厳しい宿命を辿っている。

 

その歌については↓↓

tomiko-ardi.blogspot.com

 

#despiertachile

 

長くなっちゃったので今日はここまで。

次回はもう少し突っ込んで書いてみたいと思います。

 

xx

 

Tomiko